NYの象徴、クライスラー・ビルが売りに

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 90年近くにわたって米ニューヨークにそびえる摩天楼の象徴的存在だった超高層ビル、クライスラー・ビルディングが売りに出されている。クライスラー・ビルディングはアラブ首長国連邦(UAE)アブダビの投資ファンド、ムバダラと、米不動産会社ティシュマン・スパイヤーが2008年から保有している。しかし同ビルの売却に向けて、両社がCBREグループと契約したことを、CBREの幹部が明らかにした。ムバダラの広報もクライスラー・ビルディングについて、「適切な買い手にとって絶大な価値がある象徴的なビル」とコメントしている。同ビルは1930年の完成時には世界最高層ビルだったが、約1年後には、同じマンハッタン中部に完成したエンパイア・ステート・ビルディングに追い抜かれた。現在ではニューヨーク市内で6番目の高さにまで後退し、年内に新しいオフィスタワーが完成すれば7番目になる。それでも、ビル最上部にそびえる尖塔(せんとう)に三角形をしたアーチ形の窓が並ぶ特徴的な姿がニューヨークの象徴であることに変わりはなく、「メン・イン・ブラック」や「スパイダーマン」シリーズ、「インデペンデンス・デイ」などの映画にも数多く登場してきた。しかし近代的なオフィスが求められる中で、テナント争いが厳しくなり、不動産価格の下落を招いた2008年の金融危機直前に売却された。クライスラーの名称は、1953年までこのビルに本社を置いていた自動車メーカー、クライスラーの経営者で、同ビルのオーナーだった故ウォルター・クライスラー氏にちなむ。クライスラー氏は当時、マンハッタン南部に建設中だった別の高層ビル「40ウォールストリート」に対抗して、世界最高層のビルを建設する計画を打ち出した。ビル上部に乗せる尖塔の計画については秘密を守り、外からは見えないように内部で建設に着工。40ウォールストリートの完成を見届けると、尖塔を披露して、世界一のタイトルを獲得した。